自  動  車  運  転  者

 過重労働による交通事故防止、自動車運転者の健康障害防止等のため拘束時間を含めた労働時間の改善基準が定められている。

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準

 改善基準は法令でないため違反しても直接的に罰せられることはないが、改善基準に適合しない「36協定」は受理されないため 結果的に労働時間(32条)または休日(35条)違反として処罰されることになる。
 労基署は改善基準に違反する「36協定」の受理を拒否できるかということについては、改善基準が告示として公布されていることから 受理しないことに問題はなく、行政不服審査の請求をしても受理させることは困難であると考える。

タクシー運転者

令和6年3月まで

項   目 改  善  基  準  の  概  要



拘束時間始業時刻から終業時刻までの時間で、
労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間
流し勤務 1ヶ月 299 時間
1 日始業時刻から始まる24時間 原則 13 時間
最大 16 時間(15 時間超えは1週2回以内)
車庫待ち常態として車庫等において待機する就労形態 1ヶ月 322 時間 書面による労使協定がある場合に可
協定に定めるべき事項 ・協定の適用対象者 ・1箇月についての拘束時間の限度 ・協定の有効期間等
1 日 24 時間 次の要件を満たす場合に可
・勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与える
・1日の拘束時間が16時間を超える回数が1ヶ月について7回以内
・1日の拘束時間が18時間を超える場合には、夜間4時間以上の仮眠時間を与える
休 息 期 間勤務と次の勤務の間の時間 継続8時間以上



拘束時間 流し勤務 1ヶ月 262 時間 書面による労使協定があるときは、 1年のうち6ヶ月までは、1ヶ月の拘束時間の限度を270時間まで延長可
2暦日 21 時間
車庫待ち 1ヶ月 最大290時間 書面による労使協定があるときは、 各月の拘束時間に20時間を加えた時間(最大290時間)まで延長可
2暦日 24 時間 夜間に4時間以上の仮眠時間を与えること及び次の事項を定めた書面の労使協定があるとき
・協定の適用対象者
・21時間を超える勤務の回数(最大7回まで
・当該協定の有効期間等
休 息 期 間 継続 20 時間以上
時 間 外 労 働 1日又は2暦日の拘束時間及び1ヶ月の拘束時間の範囲内

令和6年4月1日から

項   目 改  善  基  準  の  概  要



拘束時間始業時刻から終業時刻までの時間で、
労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間
流し勤務 1ヶ月 288 時間
1 日始業時刻から始まる24時間 原則 13 時間
最大 15 時間(14 時間超えは1週3回以内)
車庫待ち常態として車庫等において待機する就労形態 1ヶ月 288 時間 書面による労使協定がある場合には300時間まで延長可
協定に定めるべき事項 ・協定の適用対象者 ・1箇月についての拘束時間の限度 ・協定の有効期間等
1 日 24 時間 次の要件を満たす場合に可
・勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与える
・1日の拘束時間が16時間を超える回数が1ヶ月について7回以内
・1日の拘束時間が18時間を超える場合には、夜間4時間以上の仮眠時間を与える
休 息 期 間勤務と次の勤務の間の時間 継続11時間以上与えるように努めることを基本とし、9時間以上



拘束時間 流し勤務 1ヶ月 262 時間 書面による労使協定があるときは、 1年のうち6ヶ月までは、1ヶ月の拘束時間の限度を270時間まで延長可
2暦日 22 時間以内、かつ、2回の勤務を平均し1回あたり21時間以内
車庫待ち 1ヶ月 262時間 書面による労使協定があるときは270時間、
さらに、2回の勤務を平均し、1回あたり21時間を超える勤務の回数が1ヶ月について7回以内、夜間に4時間以上の仮眠時間を与えることを条件に最大290時間まで延長可
2暦日 24 時間 労使協定に
・協定の対象者
・21時間を超える勤務の回数
・協定の有効期間
を定め、夜間に4時間以上の仮眠時間を与えることを条件に7回まで
休 息 期 間 継続24時間以上与えるよう努めることを基本とし、22時間以上
時 間 外 労 働 1日又は2暦日の拘束時間及び1ヶ月の拘束時間の範囲内

タクシー運転者に係る改善基準のあらまし 改善基準のポイント


トラック運転者

令和6年3月まで

項    目 改  善  基  準  の  概  要
拘 束 時 間 1ヶ月 293 時間 労使協定があるときは、1年のうち6ヶ月までは、1年間についての 拘束時間が3,516 時間を超えない範囲において 320 時間まで延長可
1 日 原則 13 時間
最大 16 時間(15 時間超えは1週2回以内)
休 息 期 間 継続8時間以上 運転者の住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるよう努めること
休息期間の特例 業務の必要上やむを得ない場合に限り、当分の間1回4時間以上の分割休息で合計 10 時間以上でも可(一定期間における全勤務回数の 1 / 2 が限度)
2人乗務の特例 1日 20 時間以内 同時に1台の自動車に2人以上乗務(ベッド付(ただし、車両に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合に限る。)の場合、最大拘束時間は1日20時間まで延長でき、休息期間は4時間まで短縮できる
フェリー乗船の時間 休息期間として取り扱う
運 転 時 間 2日平均で1日当たり9時間以内
2週平均で1週間当たり 44 時間以内
連続運転時間 4時間以内(運転の中断には、1回連続10分以上、かつ、合計30分以上の運転離脱が必要)

 自家用車の運転者も対象となるので、主として運転業務に従事する配送員等も対象である。


令和6年4月1日から

項    目 改  善  基  準  の  概  要
拘 束 時 間 1年 3,300 時間
1ヶ月 284 時間
労使協定により、
1か月284時間超えは連続3か月までとし、1か月の時間外・休日労働は100時間未満となるよう努めることを条件に、
1年3,400時間、1か月310時間(年6か月まで)まで延長可
1 日 原則 13 時間(上限15時間、14時間越えは週2回以内)
ただし、宿泊を伴う長距離貨物運送l週間における運行がすべて長距離貨物運送(ーの運行の走行距離が450km以上の貨物運送)で、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合の場合、16時間まで延長可(週2回以内)
休 息 期 間 継続11時間以上与えることに努めることを基本とし、 9時間を下回らないこと
ただし、宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、8時間以上(週2回以内)
運転者の住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるよう努めること
休息期間の特例 継続9時間の休息期間を与えることが困難な場合、分割して与えることが可
・1回4時間以上
・合計時間は、2分割は10時間以上、3分割は12時間以上
・一定期間(1か月程度)における勤務回数の1/2が限度
・3分割が継続しないように努めなければならない
2人乗務の特例 車両に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合、 拘束時間を1日20時間まで延長、休息期間は4時間まで短縮可
車両内ベッドが一定の要件を満たす場合、
・24時間まで延長可(ただし、勤務終了後に継続11時間以上の休息期間を与えることが必要)
・8時間以上の仮眠時間を与える場合、28時間まで延長可
フェリー乗船の特例 乗船時間は、休息期間として取り扱う(減算後の休息期間は、下船時刻から勤務終了時刻まで間の時間の1/2を下回ってはならない)
乗船時間が8時間を超える場合、原則として下船時刻から次の勤務となる
運 転 時 間 2日平均で1日当たり9時間以内
2週平均で1週間当たり 44 時間以内
連続運転時間 4時間以内(運転の中断には、1回連続10分以上、かつ、合計30分以上の運転離脱が必要)
例外あり
予期し得ない事象 予期し得ない事象への対応時間を、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間から除くことができる(運転日報への記録、客観的な記録が必要)
予期し得ない事象とは、次の事象をいう
・運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと
・運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したこと
・運転中に災害や事故の発生に伴い、 道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したこと
・異常気象(奮報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと

 自家用車の運転者も対象となるので、主として運転業務に従事する配送員等も対象である。
 トラック運転者に係る改善基準のあらまし 改善基準のポイント


バ ス 運 転 者

令和6年3月まで

項  目 改  善  基  準  の  概  要
拘 束 時 間 4週間を平均して1週間 65時間 原則
71.5時間 貸切バス、高速バスの運転者について、書面による次の事項の 労使協定をした場合、52週間のうち16週間まで
・適用対象者
・1週間当たりの拘束時間が65時間を超えることとなる「4週間」及びその「4週間」における1週間当たりの拘束時間
・協定の有効期間
・協定変更の手続等
1 日 13時間 原則
16時間 15時間を超える回数は1週間に2回まで
フェリー乗船の特例 乗船中の2時間は拘束時間として取り扱い、それ以外は休息期間
減算後の休息期間フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはならない
休 息 期 間 8時間以上
休息期間の取扱い 住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるよう努める

令和6年4月1日から

項  目 改  善  基  準  の  概  要
拘 束 時 間 1年・1ヶ月 1年:3,300時間以内
1ヶ月:281時間以内
一定の者について、労使協定により
1年:3,400時間、1ヶ月:294時間まで延長可(281時間超は連続4ヶ月まで)
52週・1週 52週:3,300時間以内
4週平均1週:65時間以内
一定の者について、労使協定により
52週:3,400時間、4週平均1週:68時間まで延長可(52週のうち24週まで、65時間超は連続15週まで)
1日 13時間以内
延長する場合、15時間まで(14時間超は1週間3回を目安とする)
休息期間 1日 11時間以上与えるようことを務めることを基本とし、
9時間を下回らないこと
休息期間の特例 継続9時間の休息期間を与えることが困難な場合、分割して与えることが可
・1回4時間以上
・合計時間は、11時間以上で、2分割まで
・一定期間(1か月程度)における勤務回数の1/2が限度
2人乗務の特例 車両に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合、 拘束時間を1日19時間まで延長、休息期間は5時間まで短縮可
車両内ベッドが一定の要件を満たす場合、拘束時間を1日20時間まで延長、休息期間は4時間まで短縮可
フェリー乗船の特例 乗船時間は、休息期間として取り扱う(減算後の休息期間は、下船時刻から勤務終了時刻まで間の時間の1/2を下回ってはならない)
乗船時間が9時間を超える場合、原則として下船時刻から次の勤務となる
運転時間 2日平均1日:9時間以内
4週平均1週:40時間以内
ただし、貸し切りバス等・高速バス乗務者は労使協定により、 52週:2,080時間以内、 4週平均1週:44時間以内(16週まで)まで延長可
連続運転時間 4時間以内(運転の中断には、1回連続10分以上、かつ、合計30分以上の運転離脱が必要)
例外あり
予期し得ない事象 予期し得ない事象への対応時間を、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間から除くことができる(運転日報への記録、客観的な記録が必要)
予期し得ない事象とは、次の事象をいう
・運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと
・運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したこと
・運転中に災害や事故の発生に伴い、 道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したこと
・異常気象(奮報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと

バス運転者に係る改善基準のあらまし 改善基準のポイント


共  通  事  項

項  目 改  善  基  準  の  概  要
休日労働 2週間に1回以内、かつ、1ヶ月の拘束時間及び最大拘束時間の範囲内
労働時間の取扱い 労働時間は拘束時間から休憩時間(仮眠時間を含む)を差し引いたもの
事業場以外の休憩時間は仮眠時間を除き3時間以内
休日の取扱い 休息期間に24時間を加えた連続した時間を休日とする
隔日勤務 20 + 24 = 44時間以上 2日連続の場合は2日目は24時間で可
いかなる場合であっても 30 時間を下回ってはならない
賃金制度 保 障 給 保障給の定めをすること
累進歩合制度 トップ賞、奨励加給を含め廃止すること
年次有給休暇の賃金 年次有給休暇の賃金を不当に減額してはいけない
年次有給休暇の賃金についてはこちら

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